4.おしゃれの評価基準(1)

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前回までの記事で、一人ひとりにとってのおしゃれを定義し、おしゃれの評価者と方向性を決めました。

 

今回は、その評価者に評価されるために押さえるべき「おしゃれの評価基準」について解説します。

 ○人はどのようにおしゃれを評価しているか 

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おしゃれに限らず、評価が伴うものには、必ず基準があるものです。

 

トリプルアクセルを成功させたからプラス何点、歌の音程が外れたからマイナス何点等、基準はその評価の対象によって様々です。

 

私はおしゃれにおいても同様に基準があるはずだと考えました。

人が、何を見て、どのように感じ、おしゃれを評価しているのかわかれば、それに合わせておしゃれすることができるため、効率的におしゃれになることができます。

 

そこで私は、人のおしゃれの評価基準について調べることにしました。

○認知との出会い

調べようと思ったは良いものの、どこから調べてよいかわからず困っていたところ、その当時履修していた心理学の講義の中で「認知」に関する説明がありました。

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【参考】認知とは

【参考】ヒトの認知のメカニズム

認知とは、人がすでに持っている情報にもとづいて,外界からの情報を取り入れ,それを処理して新たに蓄積するまでの情報処理の過程のことです。

 

講義の内容は認知の基礎的な仕組みを説明するのみで、当然おしゃれとの関係性についての説明はありませんでした。

しかし、認知は人から情報を得る際も行われるものであることから、おしゃれの評価にも関係するものだと考えました。

そこで私は、認知の仕組みにおしゃれの評価基準につながる何かしらのヒントがあること期待して、これについて調べることにしました。

○人の認知の仕組み

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調べた結果、わかったことは次のとおりです。

(最後にまとめるので、難しいと思った方は飛ばして読んで大丈夫です。)

 

・人は、感覚器官(目、耳、鼻など)を使って、外部から情報を得ている。

・情報を得るにあたっては、自分の過去の経験を基に、多くの情報の中から必要とする情報だけを選択している。

・そうして得た情報は、自分の過去の経験を基に処理され、心の内面にイメージや意味を形作る。

・情報の処理には、2つのシステムが存在する。ひとつは視覚に関連の強いイメージシステム、もうひとつは聴覚に関連の強い言語システム。

・イメージシステムは「カッコイイ」、「かわいい」などの心象的意味性の読み取りに関連が深く、言語システムは価格、性能、ブランドなどを示す価値的意味性に関連が深いと考えられる。

・形態の評価は、心象的意味性、価値的意味性の2つのバランスで成り立っている。

 

<以下は理論上音楽に関するもの>

・対象(音楽)のもつ性質だけでなく,文化差や人種差などの社会的要因,パーソナリティや性差などの個人的要因、音楽を聴いている環境も評価に影響を与える。

・音楽を好む程度は、逆U字型関数で表され、刺激が中程度の時に最も好まれる。(最適複雑性モデル)

・聴取者が音楽によって作られる期待が裏切られたときに情動が生じる。

 

前半の5つは基礎的な認知の仕組みに関するもので、後半は音楽の認知に関するものです。

 

直接おしゃれに言及したものは残念ながら見つかりませんでした。

前半5つをおしゃれの評価に当てはめる形で単純にまとめると、

・人は、自分の過去の経験や知識を基におしゃれを評価していて、頭から足の先までの全部を見て評価しているのではなく、(靴なら靴だけといったように)必要だと思った部分だけを見て評価している。

・評価基準には、大きく分けて2つある。一つは「色使いがうまいからおしゃれ」「シルエットが綺麗だからおしゃれ」というような視覚的なもの、もう一つは「流行りのブランドを着ているからおしゃれ」「機能的に優れたものを着ているからおしゃれ」といった言語(価値)的なもの。

・最終的な評価は、得た情報を2つの基準で評価して総合的に決まる。

 

後半3つは本来は音楽に関するものですが、これらは経験上おしゃれにも当てはまるものだと考えています。

前半と同様に おしゃれの評価に当てはめる形で単純にまとめると、

人は、自分の過去の経験や知識を基に、おしゃれを評価する状況に応じたおしゃれへの期待を持っており、その期待が裏切られたときに感情の動きが生じる。

・この感情の動きが、評価に影響する。

・感情の動きの大きさは、裏切りの度合いとの関係で、図のような逆U字曲線を描く。ある一点で感情の動きは最大になり、それより裏切りの度合いが小さいか大きいと、感情の動きは小さくなる。

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つまり適切に評価されるためには、評価者の期待するおしゃれがどんなものであるか把握し、色使いやシルエット等の視覚的要素と、ブランドや機能等の言語的要素をバランスよく組み合わせ、その期待を適度に裏切るおしゃれをすることが大切だということです。

 

これだけだとわかりにくいと思いますので、「2.おしゃれって何??」で紹介した大学の人たちを例に説明します。

2.おしゃれって何?? - 公務員のマジメなおしゃれ理論

 ○評価者に合わせたおしゃれの方法

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大きな流れは、次のとおりです。

「評価者の特定(方法は以前の記事のとおり) ⇒ その時点で評価者がおしゃれだと考えるものと、そう考える理由を予想する ⇒ その予想を裏切るために、視覚的要素、言語(価値)的要素でどのように変化を付けるか考える ⇒ 実行する」

 

ここでの評価者は、大学の人たちです。

大学の人たちが期待するおしゃれは、先述のとおり大学名の入ったサテンジャンパー、スウェットパンツにティンバーランドのブーツを合わせることです。

 

これをおしゃれとする理由には、所属する大学名のブランド、サテンジャンパーやスウェットパンツの機能性等の言語(価値)的要素が強く反映されていました。

また、流行とは大きく異なるスタイルであることから、大学の人たちは流行にあまり興味がなく、流行の服に関する知識も持っていないことが予想できます。

服に関する知識がない場合、変化の度合いが適切に理解できず大きく反応してしまうか、変化に気づけず全く反応しないかのどちらかになりますが、大学の人たちは知識がない中で特定のアイテムに強いこだわりを持っていることから、その特定のアイテムの変化には敏感に反応するだろうと考え、小さな変化の中で適度に期待を裏切ることを狙います。

 

これを踏まえつつ、視覚的要素、言語(価値)的要素のバランスで変化をつけますが、その選択肢を私は次のように考えました。

 

・サテンジャンパー、スウェットパンツ、ティンバーランドのブーツという基本は変えずに、それぞれのアイテムの色やシルエット等の視覚的要素のみに変化をつける(スウェットパンツの色をグレイから黒にする、ティンバーランドのブーツのレングスを変える等)。

・サテンジャンパー、スウェットパンツ、ティンバーランドのブーツという基本は変えずに、大学名等の言語(価値)的要素のみに変化をつける(大学名を所属大学からよりブランド価値のありそうな大学に変える等)。

※実際には、髪型や性格等の他の部分も影響しますが、わかりやすくするためここでは省略しています。詳しくは次回以降の記事で解説します。

 

これは考え方の一例であり、他にも考え方があると思います。

これを実行した結果評価されない場合には、変化のつけ方を微調整したり、考え方を変えたりして、最適なポイントに近づけていきます。

 

 

今回の内容は少し難しかったかもしれません。

詳細は次回以降に続きます。最後の段落の考え方がポイントです

 

次回のエントリーは、今回の続きとして、私がストリートスナップされるためにどのように考えたかについて解説します。